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Quantum Computer Exists
量子電脳は SF の世界だけのものではない。
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現存電脳で "bit" と呼んでいた情報の単位に対して、量子電脳のそれは "qubit
(quantum bit)" と呼ばれるのが通例である。 現存電脳に比べて量子電脳では扱う
qubit の数を一つ増やすと その制御は極端に難しくなるという欠点がある。 しかし米国は既に複数
qubit を持つ 量子電脳の開発に成功していると言う者もいる。 (この噂に対しては現在調査中)である。侮るなかれ。
これは既にある数に対しては素因数分解に成功している事を意味するのだ。
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ここで唐突に「素因数分解」という言葉が出て面食った読者の方も いらっしゃるかも知れないので
量子電脳と素因数分解の関係 について簡単に説明する。
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「公開鍵暗号」
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という言葉をご存じだろうか。 インターネットの普及によって注目を集めているので、
ご存じの読者も多いと推測する。 原理等についての説明はここではしないが、重要な事は
簡単な計算で 計算不能と思われる程の量の計算を
しなくては暗号が解けないような数学的性質を使うという事である。
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そのような数学的性質の一つが
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素因数分解
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の因難さである。 しかし 1994年、「因難」を「ある意味では因難」又は 「少なくとも20世紀内は因難だろう」と言い直さなくてはならない
ような論文が発表された。 Peter Shorによる "Algorithms
for quantum computation: Deiscrete logarithms and factoring" である。
この論文によれば、量子電脳を使えば素因数分解の計算は 現実的な速度で行える、つまり因数分解を使った公開鍵暗号は
解けてしまうのだ。 なお、他の数学的性質に対しても量子電脳の強力さは次々と
明らかになりつつある。
ここで冒頭の文をもう一度振り返る。 「侮るなかれ。これ は既にある数に対しては素因数分解に成功している事を意味するのだ。」
素因数分解に成功
既に量子電脳は地上に存在している。 そしてその能力は暗号解読にとどまらず、多くの点で
現在コンピュータと呼ばれているものを凌駕し、 過去の遺物、玩具の地位へと追い込むであろう。
しかし、1997年現在、その足取りは乳児のように おぼつかない。
しかし約束の時は近い。 時計の針を戻す事はできないのだ。
我々のタイムスケジュール
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1999年
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研究室を京都へ移転
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2008年
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基礎理論完成
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2010年
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実用型量子電脳初号機完成
問題ない、シナリオ通りだ。
補足説明
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例えば 16bit/30MHz のプロセッサー1つしか持たないような コンピュータでもほぼ瞬時に計算が終わる程度。
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例えば 地球上に存在する全てのコンピュータを使っても宇宙が 終わる前に計算結果が出力されない程度。
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他にもあるが
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説明するには予備知識が必要なものが多い
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素因数分解が一番有名で、歴史も長い
という理由で、ここでは素因数分解以外は述べない。
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日本語にすると 「量子電脳の為の計算手法(アルゴリズム):離散ログと因数分解」
というところか。
P. W. Shor, Algorithms for quantum computation: Discrete logarithms
and factoring, in Proc. 35th Ann. Symp. on Foundations of Computer
Science, IEEE Computer Society Press, Los Alamitos, CA, pp. 124-134
(1994)
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「乳児は歩くか」どうかという問いは本質的ではない。 現実にどのようにおぼつかないかは別の頁で説明する予定。
[量子電脳]